今回、芥川龍之介が自殺した後に出てきた遺稿である「歯車」を読んだので、その感想について簡単にまとめておきたいと思います。
結論は「どういうこと?ってなるけど、芥川のこと、文章構成など調べると少し分かったような気がする…けど何もわからない」ということです。
芥川龍之介「歯車」を読んだ感想
読み終わった後「どういうこと?」となる小説
まず最初にこの小説を読み終わった後の率直な感想をいいます。
「えぇ…どゆことー…!?」です笑
例えば蜘蛛の糸だと話がわかりやすいですよね。もちろん考えさせられるわけですが。
でもこの歯車は違います。読んでいても全く意味がわからないです。いきなり幽霊の話になったり、歯車が見え始めたり、なぜ主人公がイライラしているのかわからなかったり、復讐の神って誰?とか理解できないことが多すぎるんですよね。最後どうしてそんな感情になってるのとか。
だから読んでいても、これってなんのことだろうってわからないことがたくさん出てきながら、話がそのまま進行するので何がわからないかもわからなくなってきます。
しかも、そのわからないがいつかわかるようになることもありません。わからないまま小説は終了します笑
だから「はー…!?結局なんだったの…!?」となります。
情景の描写が暗いし生々しい
ただ1つだけ小説を読んでいてわかることがあります。それはとにかく不気味な雰囲気だということです。
芥川龍之介の真骨頂といえばその情景描写。トロッコのような作品でも主人公の心の変化を情景描写を使って描き出しています。
この歯車の情景描写ですが、かなり不気味です。そしてなんていうんでしょうか、本当にその置かれている状況を体験できるような不気味さ、生々しさがあります。
これは芥川龍之介の自殺への気持ちが高まっていたということもあるのだと、他のブログでも書いてありましたが、そうなのかもしれませんね。
自殺するというくらい、追い詰められていた状況だったということだからこそ、このような描写が多くなっていたのかもしれません。
芥川龍之介の背景を知ると少し理解できた気になる
結局ですね、歯車を読み終わってからよくわからなすぎて、いろいろ考察を調べました。結論から言うと、それでもよくわからないです笑
ただ川端康成のような著名な文豪から「芥川の最高傑作」と言うような評価を得ている作品だそうです。その理由の1つが対象性だそうです。
この歯車という話、お気づきになった人もいるかもしれませんが6章構成で、1章と6章、2章と5章、3章と4章がついになっているみたいです。
これは夏目漱石の「夢十夜」を参考にしたと言われています。夏目漱石は芥川の師匠の1人でもあったみたいです。この対象性を作るのは結構骨が折れるらしいです。理由は各章の繋げ方が難しいから。
夢十夜では各章をつなげるのが難しかったため、章ごとにオムニバス形式の短編集のようになってしまった部分があったそうです。しかしその部分を芥川は見事に繋げたみたいです。
さらに3章と4章は元々話がつながっているから、わざわざつなげる必要もないのに、丁寧に繋げているようです。こういった部分が評価されたのではないかと言われています。
また歯車が見える病気が本当にあったらしいこと、その当時は芥川の母が精神病になっていて、それが芥川龍之介にも遺伝するのではないかと思われていたこと、現実に姉?妹?の旦那さんが亡くなっていたこと、などこの歯車に繋がる部分がたくさん出てきています。
私には到底理解できない内容でしたが、少し分かったような気がしたこと、そしてこうやっていろいろ調べていく中で少しずつ分かっていくというのが、この歯車の面白さなのかもしれないなと思いました。