【血の轍:考察】静子の行動の理由と原因について

どうも、しんじです。

突然ですが皆さんは血の轍というマンガをご存知でしょうか?

私が初めて押見作品に触れたのは「クソ虫が」のフレーズで有名な悪の華でした。すぐにその独特な世界観に魅了され、血の轍も読み始めました。血の轍は毒親を描いた作品として有名です。

血の轍の主人公の親の静子ですが、最初に読むと「なぜ?」「どうしてこんなことするの?」といったような、理解できない行動が多いと感じるはずです。

ですが改めて読み直していたところ、「なるほど、だから静子はこうやって動いていたのか」と気づいたポイントが、いくつかありましたので、そのことについてまとめておきたいと思います。

あくまでも個人的な考察なので、異なる見解があればコメントで教えてください。

注意

かなりネタバレを含んでおります!ネタバレがOKという方のみ、先にお進みください。

【血の轍:考察】静子の行動の理由と原因について

結論

まず静子の行動の理由・原因について結論をまとめておきたいと思います。以下の通りです。

  • 静子は一郎(主人公静一の父親)の家に嫁入りした結果、自分の居場所がなくなり、この家を抜け出したいと強く思っている。
  • 静一の誕生により、父親の一郎すらも静一が一番大切になってしまい、静子は強烈な孤独感を感じている。
  • 静子が孤独感を解消するために考えた方法が「静一とふたりで生活する」「静一を殺して生まれる前の状態に戻る」だった。
  • 静子は最初、静一とふたりで家を抜け出し、生活していくことを選ぼうと行動していた。静一に過保護であったのはそれが理由。
  • しかし吹石の存在によって、静子と静一とで家を抜け出す方法が選択肢としてなってしまった。
  • シゲちゃんが記憶を思い出してくれることによって、静子は警察に連れられながらも家を抜け出すことに成功。
MEMO

ちなみに血の轍とは血縁関係の溝のことを指しているのではないかと思われます。静子は一郎家に嫁いでいますので、血縁関係がありません。これを血の轍と表現しているのではないかと思われます。

静子の行動の根本原因

静子の行動の根本原因ですが「強い孤独感」だと思います。孤独感を感じている理由は2つあります。

ひとつは嫁入りした結果、血縁関係がない場所にいくことになり自分の居場所がなくなってしまっていること。もうひとつは静一が誕生し、静子を一番大切に思ってくれる人がいなくなったことです。

私もマスオさんのような状態になっているので、孤独感については、かなりわかる部分があります。本当の自分でいられないというか、言いたいことも言えないというか、そういう息苦しさは常にあるんですよね。

あとは静一の誕生です。静一が生まれることで、何をするにも静一のことが一番になってしまいます。今までは夫の一郎と2人だったので、静子のことを大切にしてくれる人がいました。

その一郎すらも静一が生まれたことで静一の面倒を見ることが一番になってしまいます。この結果、静子の孤独感にさらに拍車がかかるということです。

静子の行動の背景には全てこの強烈に感じている孤独感を癒したいという気持ちが含まれているのではないかと思います。

静一に過保護な理由

静子が静一に過保護な理由ですが、以下のような理由が考えられます。

  • 静子は、いつか静子と静一の2人で家を飛び出すその時のために、静一を常に自分のものにしておきたかったから。
  • またシンプルに血の繋がった2人でいることで静子の孤独感を緩和することにつながっていたから。

ちなみに小さい時に静一を崖から落として殺そうとしたことがありました。これは2人でこの家を抜け出す計画を実行しようとしたためです。

この時は静子も一緒に死のうと思っていましたが、よく考えると2人で死ななくても静一だけ殺せば良いことに気づきました。

また静一を殺すことはデメリットも大きいため、あのタイミングで静一と2人で家を抜け出して生きていけば孤独感が解消されることにも気づいたのではないでしょうか。

吹石と静一の関係をこばむ理由

静子が吹石と静一の関係をこばむ理由は、以下の通りです。

  • 静一が他の人と生きていくことができるようになるということは、静子の孤独感を増加させることになるから。
  • 静一が性を知ることで「生きることへ近づいてしまうこと」が、静子が孤独感から逃れられないものにしてしまうから。

静子は自分の孤独感を癒すことが目的なので、もし静一が吹石と一緒になってしまうと、静子は完全にひとりになってしまいます。

また静子は静一が死ねば孤独感を感じることのなかった元の状態に戻れると思っています。逆に静一が生き続けてしまうことは、静子にとって孤独感を永遠に感じさせる原因になってしまいます。

吹石との関係の中で静一が生きることへの欲求であるリビドーを感じてしまうことは、静子にとってメリットがありません。

まとめ

というわけで今回は【血の轍:考察】静子の行動の理由と原因についてまとめてみました。

改めて結論ですが、静子の感じている強烈な孤独感が原因で、このような事態が引き起こされているのではないかと思います。もし別の考え方があったり、ここは違うんじゃないみたいなことがあればぜひコメントください。では!

2 COMMENTS

マンガおたく

孤独感についてやたらフォーカスを当てていますが、12巻はご覧になられたでしょうか。孤独感はなくはなかった、…というか自分の居心地のいい居場所を探すことに常に必死であったとは思います。が、売られている全巻を通して読むと、嫁入りしてから居場所がなく孤独を強く抱えるようになったというのではなく、もっともっと長期で、なんなら生まれてすぐから静子は自分を救える、救ってもらえる場所を探してたんじゃないでしょうか。

返信する
ゆみしん夫婦

コメント、ありがとうございます。
確かにおっしゃる通り、ずっと救ってもらえる場所を探していたのかもしれませんね。
まだ12巻を読んでませんので、また読みたいと思っています!

返信する

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA