<この記事はこんな人におすすめ>
- 自分の頭で考えて動く部下の育て方の要約・内容をしりたい人
- 自分の部下に不満があったり、うまく指導できないと感じている上司の人
- 上司が指示をしてくれないと動くことができない指示待ち部下になっている人
<この記事を読んでわかること>
- 指示待ち人間が生まれる理由
- 部下を指示待ち人間にしないための上司の戦術
- 本を読んでの筆者の書評
今回、篠原信さんの書かれた「自分の頭で考えて動く部下の育て方」を読みましたので、ポイントの要約と、書評をまとめます。
自分の頭で考えて動く部下の育て方の要約
指示待ち人間はなぜ生まれるのか
自分で考えて動く部下を育てる3つのポイント
指示待ち人間が生まれる理由の前に、自分で考えて動ける部下を育てるポイントを3つ紹介します。
- 上司の考えを折に触れて伝える
- あとは自分で考えて行動してもらう
- 上司の考えとずれた処理や失敗があっても、「しょーがない」として、改めて上司の考えを伝えて、次回から軌道修正してもらう
この3つ目の失敗に対してゆとりある態度を持てる上司や会社になれば指示待ち人間はびっくりするほど少なくなるということでした。確かに最初から優秀な人はおらず、失敗を繰り返しながら能力を育てていくのだと考えた方がいいかもしれませんね。
指示待ち人間ができてしまう理由
では自分の頭で考えて動く部下の育て方を理解したうえで、指示待ち人間ができる理由を2つ紹介します。
- 上司が、部下に任せればよいような仕事も全部自分でやってしまうようになれば、部下は自分で考えることをやめてしまう。
- 部下の失敗に対しての対応がシビアだと部下が指示待ち人間になる。
以上のような理由です。特にスタッフが上司から叱られることにおびえて、叱られないように自分の頭で考えることを一切やめ、すべて指示通りに動こうとするようになるということが大きな原因でした。
指示待ち人間であっても、自分の頭で考えられないわけないですよね。自分の頭で考えて行動した結果、上司の気に入らない結果になって、叱られることがあまりに多いものだから、全部指示してもらうことに決めただけだということができます。
多くの上司の勘違い4つ
上司は部下より無能で構わない
上司が率先垂範しなければならないと思っている上司は多いと思います。しかし上司が頑張りすぎると、逆に部下が働かなくなってしまう恐れがあります。
そもそも上司と部下の仕事や求められる能力は違います。例えばプレイヤーとして優秀なひとが上司になったとします。その上司のプレイヤーとしての「仕事ができる」アピールや実績は、部下にとってはやる気を下げるマイナスの影響が大きいのです。
そうやって部下と能力で張り合うのではなく、上司の仕事は部下のパフォーマンスを引き上げることだということを忘れてはなりません。
威厳はなくて構わない
上司の中には、「部下に尊敬されなければ」と気負っている人もいるかと思います。ですが、そういった姿勢が部下を指示待ち人間にしてしまいがちなのです。
特に人を恐怖で支配し、叱責することで人を動かす方法は、軍隊が人を特攻させるために使っていた「考えない人」を生むための方法です。つまり、怒る・叱責する・恐怖で支配する以外の方法を模索していかなければ、自ら動く部下は、手に入れることができません。
部下に答えを教えるなかれ
上司は部下に、懇切丁寧に仕事を教えてあげないといけないと思っている人がいると思います。ですがそのために、部下の仕事への情熱が奪われ「指示待ち人間」が生まれてしまいます。
そもそも人間は、丁寧に教えてくれる人がそばにいると自分で考えなくなってしまいます。部下は自分の力で、自分の「できなかった」ことが「できる」ようになった時、強い達成感と自己効力感を得ます。
その結果、自信がついて自分で考えて行動できるようになっていきます。つまり上司は答えを教えるよりも、「できる」ようになる快感をどうしたら部下に与えられるか考えることが大切です。
部下のモチベーションをあげようとするなかれ
マネジメントとは部下のモチベーションを強制的にあげ続けることだと考えている人がいるかもしれません。部下のモチベーションをあげようと、部下に働きかければかけるほど、部下のテンションは下がり、指示待ち人間に近づいていきます。
むしろ部下には適度な距離を保ち、助けが必要な時だけ助け、基本は口をはさまずに部下を見守ります。部下ができなかったことができるようになった時、その瞬間の喜びを上司が強化するようにします。
これの繰り返しで、部下の達成感を後押ししてモチベーションを引き出します。部下のモチベーションを強制的に上げさせるというアプローチが指示待ち人間をつくる原因になります。
上司の「戦術」とは
いちど覚えたら二度と忘れない教え方
上司から一方的に仕事のコツや、答えを教えても部下には身につかないと筆者は言います。
むしろコツや答えを教えるのではなく、部下の方に調べてもらったり、実際に仕事を体験してもらう中で、コツを見つけてもらうと、理解も深まり、記憶をふかめるということです。
もしコツを教えようと思うなら、実際に本人に体験をさせ、自分で見つけてもらうの方がいいです。
上司がコツを教えようと思っても、部下は上司とは全く別のバックグラウンドを持っているので、同じものを見ても感じ方が全然違います。つまり上司がコツと思うことでも、部下はコツだとは思わないことも往々にしてあります。
相手の答えに対して、新しい情報を加味して、新たに質問する
部下に自分で考えてもらうようにする方法は、答えを教えないようにすることです。それに加えて、相手の答えに対して、新しい情報を加味して、新たに質問するということを繰り返すと、思考が深まり、新しいアイディアが生まれるようになります。
つまり部下の回答が上司の求めるものでなくても、新しく情報を与え、質問をしていけば、部下自ら様々なことに気が付けるようになっていくということです。それを繰り返すことで、部下が自分で考えられるようになります。
部下の成功体験の積ませ方
- 前段のステージの仕事を繰り返させ、十分に基礎能力を積み上げる。
- 次のステージに進む技能が育ったと見込みが立ったら、初めて次の業務にちょっと背伸びさせてみる。
- 次の業務を一度上司がやってみる。
- 上司の見守りの中で、一度部下にやらせてみる。極力口を出さない。あまりじっと見つめず、他の業務をやりながら見守る。
- いつでも上司に相談できる状態を用意したうえで、部下にひとりでやらせてみる。
部下の成功体験を後押しすることで、部下のやる気が引き出されます。1人でできるようになればそれが自信になり、自分で考えて動き出すようになります。
ノルマを課さない
ノルマを課すというのは、ノルマを課さないとお前は動けないと言ってしまっているようものです。つまり相手を信頼していないことを告げていることになります。部下は信頼されればやる気もモチベーションも上がりますが、信頼されていないと感じると、やる気がなくなっていってしまいます。
確かにノルマを課さないということはリスキーであるという人も、きれいごとだという人もいるかもしれません。しかし基本はノルマがなくても人間はうごけるものだと筆者は言います。ノルマがなくても動ける人間にするには、部下を紹介されている方法で丁寧に育て上げることが大切です。
ほめるのは結果ではなく苦労や努力
結果や成果をほめてしまうと、むしろ部下は気負ってしまうことがでてきます。部下に暗に今まで以上に頑張れと伝えてしまうことになるからです。
ほめる際は、達成した際の苦労や努力をほめるようにします。部下は工夫したこと自体をほめられてうれしくなり、もっと工夫して驚かせてやりたいと思って、自然と改善を試みようとしはじめます。
部下がした工夫を面白がるという考え方を上司がもつと自然と努力や苦労をほめることができます。
頑張るなといたわられるから頑張れる
あんまり頑張りすぎないようにしてくださいという言葉には、あなたが頑張っていることはよく承知しているという意味が含まれています。
つまり部下に意欲的に頑張ってほしいなら、逆にあまり頑張りすぎるなと伝えることが大切です。
自分の頭で考えて動く部下の育て方の書評
本を読む前
私も会社で指示待ち人間になっていた
私も会社で指示待ち人間になっていたなと思い当たる節があります。私は、どちらかというと部下の目線からになるんですが、自分で考えて動くような人間ではありませんでした。
というよりも一度しっかり会社の方針とか考え方を自分の中に落とし込まなくてはいけないと思っていたので、結局指示待ち人間になっていたと思います。
怒られることがトラウマになっている
自分の性格上、自分がいいと思ったことは実践していました。しかし自分で考えて動いた行動を、上司に叱られて、結局自分で考えない方がいいと思ったことは多々あります。
仕事がうまくできず怒られることが多かったので、とにかく怒られないようにすることが目的になっていました。当然指示待ち状態になってしまっていました。
本を読んでの気づき
自分の考えで動けない人が多いという人の言葉がつらかった
私の周りにも、部下が思うように動いてくれないということを嘆いている人はいますが、ぼくもその一人だったので、その言葉を聞くとぼくに向かって言われているようで、つらくなります。でも実際はそんなことないと思うんですよね。本来は自分で考えて過ごせるはずだと思います。
三国志や昔の故事がはいっているので、共感しやすい
本の中に、三国志の諸葛亮孔明の話や、項羽と劉邦の話が出てきて、理想のリーダーについて語られています。こういった話はたとえ話として非常にわかりやすかったです。たくさんのたとえ話や具体例が盛り込まれているので、物語のように読み終えることができました。
教えないということが大切ということを大学で経験していた
私の大学の時の先生が、答えをおしえてくれなかったなと、本を読んでいて思い出しました。
例えばレポートを提出しますよね。そうすると「再提出」としか添削されずに、突き返されるんです。何が何だかわからなくて、もう一度見直して提出したんですが、また「再提出」という言葉のみで返却されました。
よくよく見てみると、ページ数が間違っていたんですよね。内容は良かったんですけど。それ以来、そういったレポートのページ数だけは間違えなくなりました。
当時は、なんでこんなそっけないんだろうとか、むかつくなと思いましたが、いまでは本当にありがたかったなと思っています。
大学の時の先生は、答えを教えても身につかないということを知っていたんだと改めて尊敬しました。
自分が上司になったら指示待ち人間は作りたくない
ぼく自身が指示待ち人間でした。だからこそこの本を読んで指示待ち人間を作りたくないなと思いました。
自由に考え、自由に発想して、それを受け入れられる土壌というのを作りたいなと思いました。特にこれからチームや、会社も作っていきたいと思っているので、ここに書かれていた内容を忘れずに、実践していきたいです。
実践していくこと
答えを教えあうのではなく、考えあうようにしたい
現状、ゲーム制作チームで作業していますが、結構求められたら答えを教えてしまうことや、教えあうことが多かったなと反省しました。
別に上司、部下の関係でなくても、自分が答えを知っている立場であっても、相手に自分で考えてもらうように質問を投げかけることは、していきたいなと思いました。
三国志を読む
この本の冒頭に出てくる三国志の話ですが、面白かったです。自分の知識がないのでもっと知りたいなと思いました。多分活字だと途中で読むのをあきらめてしまうと思うので、マンガで読んでいきたいと思います。
まとめ
ということで自分の頭で考えて動く部下の育て方の要約と書評をまとめました。ぼく自身が指示待ち人間だったので、どうして指示待ち人間になってしまったのかということがよくわかりました。上司の人で、部下が思うようにやってくれないとか、部下に不満があるという人におすすめの本です。
ただやっぱり人によって感じ方は違うだろうなと思いました。部下とどうしても合わないという人もいますよね。ただこの本を読むことで、部下との関係についての知識を得ることは、プラスにはなっても、マイナスにはならないだろうなと思いました。